2016年の4月より旅館業法の運用が緩和され、簡易宿所の面積要件や玄関帳場の構造設備要件が緩和されました。
しかし、法律レベルでは緩和されたにも関わらず、主要都市では「上乗せ条例」が残っているため、依然として簡易宿所営業による民泊が実施困難なケースが多くあります。福岡市でも、旅館業法施行条例により玄関帳場を必ず設けるよう規定されているため、簡易宿所営業による民泊の実施は困難でした。
上乗せ条例の説明はコチラ福岡市の旅館業法施行条例においては、玄関帳場だけでなく、住居と同一の建物では簡易宿所を含む旅館業を開業できない規定になってます。玄関帳場であれば造作によって新たに設置することは不可能ではありませんが、住居と同一の建物内では営業できないのであれば民泊施設を運営するのはほぼ不可能です。
第3条 政令第1条第1項第11号に規定するホテル営業の施設の構造設備の基準は,次のとおりとする。
(3) 帳場が,宿泊者その他の施設の利用者(以下「宿泊者等」という。)の出入りを容易に確認することができる位置に設けられていること。
(9) 施設は,玄関,客室その他宿泊者等の用途に供する施設を一体的に管理することができる構造であり,かつ,住居その他の施設と明確に区画され,これらが混在していない構造であること。
この点について、2016年6月の市議会で、民進党の田中しんすけ議員(中央区選出)が一般質問で取り上げています。市の答弁によると、9月議会に旅館業法施行条例の改正案を提出予定とのことです。上乗せ条例を改正するためには、市議会や県議会へ改正案を提出し、審議することが必要です。福岡市の田中しんすけ議員のように、民泊に対する意識の高い議員が各地の議会で旅館業法施行条例について取り上げることにより、行政が条例改正の必要性を認識し、上乗せ条例撤廃の流れが出来てきます。
田中しんすけ議員のキャッチフレーズは「政治に無関心でいられても、政治に無関係ではいられない。」だそうです。民泊事業者の皆さんも、政治に無関心ではいられても、政治に無関係ではいられません。各地の地方議員に問題意識を共有してもらい、上乗せ条例も問題点について議会で取り上げてもらうよう働きかけてはいかがでしょうか。「民泊をやりたくても、規制が厳しすぎて現実的ではない」と嘆くだけでなく、問題解決に向けて行動されることをお勧めします。
17日の市議会で田中しんすけ議員の質問に対し、市側が回答した。市の条例では簡易宿所の営業にフロントの設置を義務付けているほか、同一の建物内に住居と宿泊施設を混在させることを禁じている。この2つの要件を緩和する方向で検討している。パブリックコメントを実施したうえで、9月議会に改正案を提出する方針だ。
日経新聞2016/6/17