【消防法】民泊の自動火災報知設備では特定小規模施設特例の利用が可能なケースあり

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自動火災報知設備とは?

自動火災報知設備とは、民泊の居室等に設けて火災を感知する「感知器」とその感知器からの信号を受信して警報を発する「受信機等」によって構成されています。受信機は警報を発し、火災が発生している区画を表示しベルなどを鳴動させ建物内にいる人に火災の発生を知らせる設備です。
一般的なものは、受信機・発信機・中継器・表示灯・地区音響装置・感知器から構成され、価格も高額になります。マンション管理人室に設置された受信機を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

一般社団法人 日本火災報知機工業会サイトより引用

民泊では自動火災報知設備が設置義務

平成27年4月1日から消防法が改正され、別表第一(5)項イ、(6)項イ、ハにおいて、就寝の用に供する居室を持つものにあっては、延べ面積に関係なく自動火災報知設備の設置が必要になりました。民泊施設は(5)項イの宿泊所に該当するため、上記改正により自動火災報知設備の設置が義務付けられます。

ホテルニュージャパン事件に代表されるように、宿泊施設で火災が発生すると大規模な被害をもたらします。民泊事業者にあっては、消防法令に確実に対応することが求められます。

消防法令別表の防火対象物については下記の表をご確認ください。

防火対象物一覧ただし、一般住宅の一部を利用して民泊を実施する場合には設置が不要になるケースもあります。詳しくはコチラの記事をご確認ください。

【消防法】民泊許可申請や届出で注意すべき消防用設備等の工事とは?

特定小規模施設の特例

上記の通り民泊施設においては自動火災報知設備の設置が義務付けらていますが、特定小規模施設の場合には特例が適用となります。無線式の特定小規模施設用自動火災報知設備が利用可能となり、通常の自動火災報知設備より低コストで導入が可能です。

特定小規模施設とは

特定小規模施設とは、次に掲げる防火対象物であって、延べ床面積が300㎡未満のものをいいます。ただし、特定一階段等防火対象物は除かれます。

特定一階段等防火対象物は、従前から、その構造上の防火危険性を踏まえ規模を問わず自動火災報知設備の設置が義務付けられていることにかんがみ、除外されたためです。

特定小規模施設【平成20年総務省令第156号】(平成25年12月27日改訂)
次に掲げる防火対象物であって、延べ床面積が300㎡未満のもの(特定一階段等防火対象物を除く

  • (二)項二 カラオケボックス・個室ビデオなど
  • (五)項イ 旅館・ホテル・宿泊所など
  • (六)項イ 病院・診療所など[3床以下の診療所を除く]
  • (六)項ロ 老人短期入所施設・養護老人ホームなど
    [利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る]
  • (六)項ハ 老人デイサービスセンター・軽費老人ホーム・保育所など
    [利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る]
  • (十六)項イ 複合用途
    下記の用途に供される部分の床面積の合計
    (二)項二・(五)項イ・(六)項ロ
    (六)項イ・ハ[利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る]

特定一階段防火対象物とは

特定一階段等防火対象物とは、避難階以外の地階または、三階以上の階に特定用途部分があり、当該階から避難階または地上に直通する階段が一(屋外階段等を除く)のものをいいます。特定一階段等防火対象物ではその構造上の防火危険性を踏まえて、規模を問わず自動火災報知設備の設置が従前から義務付けられてきました。そのため、特定小規模施設の特例から除外されています。

民泊事業を開始する場合には、当該物件が特定一階段等防火対象物に該当するか否かを確認することをお勧めします。

特定小規模施設用自動火災報知設備

特定小規模施設用自動火災報知設備では、受信機や配線が不要なため通常の自動火災報知設備に比べて低コストで導入が可能です。また、消防設備士でなくても設置工事が可能です。

 

特定小規模施設用自動火災報知設備

能美防災の資料より

消防設備士も特定小規模施設用自動火災報知設備を知らない

上述のように様々なメリットがある「特定小規模施設用自動火災報知設備」ですが、その存在を知らない消防設備士や消防署職員が多数います。弊所では総務省消防庁や東京消防庁の担当者と複数回質疑応答を繰り返していますが、そこで得られた本庁職員の見解を消防設備士や所轄消防署の担当者に伝えても否定されることすらあります。

この原因には、以下の点が考えられます。

  1. 特定小規模施設用自動火災報知設備は消防設備士でなくても設置可能なので、消防設備士がその存在を認めたがらない
    特定小規模施設用自動火災報知設備は電源、水源及び配管が無い場合には消防設備士以外の者でも設置可能です。すなわち、特定小規模施設用自動火災報知設備について、すべての感知器が無線式感知器であり、かつ、連動型警報機能付感知器であって、受信機を設けないものについて、「消防設備士でなければ行ってはならない工事又は整備」から除かれています(消防法施行令36条の2参照)。しかし,その点を知らない若しくは意図的に無視する消防設備士が存在します。
  2. 設置実績が少ないため所轄消防署の担当者も特定小規模施設用自動火災報知設備を知らない
    特定小規模施設用自動火災報知設備の設置実績が少なく、事前相談で小規模施設用自動火災報知設備の使用を検討していると伝えても、設置可能な要件を把握していない担当者が大半です。さらに特定小規模施設用自動火災報知設備はその外観が家庭用火災報知器と外観が似ているため、消防検査で始めてみた消防署係員は戸惑うケースが多いようです。

以上より、小規模施設用自動火災報知設備を使用して民泊を実施する場合には、開業を検討している施設が小規模施設用自動火災報知設備の設置基準に合致しているかについての疎明資料を用意して、かつ消防法令の詳細を十分に理解した上で消防署の事前相談に臨む必要があります。

特定行政書士 戸川大冊
small早稲田大学政治経済学部卒/立教大学大学院法務研究科修了(法務博士)
民泊許可手続の第一人者。日本全国の民泊セミナーで登壇し累計850人以上が受講。TVタックルで民泊について解説。政治法務の専門家行政書士として日本全国の政治家にクライアントが多数。 民泊を推進する日本全国の自治体政治家や国会議員にネットワークを持つ、日本で唯一の行政書士。
ビートたけしのTVタックル、NHK「おはよう日本」、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」、TBS「ニュース23」など多数のテレビ番組に取り上げられている。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、週刊誌などでも掲載多数。

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