特区民泊の床面積要件
国家戦略特別区域法施行令第12条3項イでは、特区民泊の一居室の床面積は25平方メートル以上であることと規定されています。
国家戦略特別区域法施行令第12条
三 施設の各居室は、次のいずれにも該当するものであること。
イ 一居室の床面積は、二十五平方メートル以上であること。ただし、施設の所在地を管轄する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合にあっては、当該保健所を設置する市の市長又は特別区の区長)が、外国人旅客の快適な滞在に支障がないと認めた場合においては、この限りでない。
民泊を実施する際に旅館業許可を取得しようと検討した方も多いと思いますが、この面積の考え方は旅館業法の許可を取得する場合と異なります。そこで、特区民泊本記事では、この特区民泊における「25平方メートル」の測り方を解説します。
旅館業法と異なる根拠は?
上記の国家戦略特別区域法施行令第12条では、面積要件については「床面積は、25平方メートル以上」と規定するのみで、計測方法について明示していません。したがって、旅館業法と同様に「内のり」による計測も可能とも思われます。
しかし、大田区や大阪府など特区民泊を実施している自治体では「壁芯」による計測を求めています。この点について内閣府地方創生推進事務局の担当者にも話を聞きましたが、政令レベルでは壁芯による計測と指定しているものではないと回答を得ました。したがって、計測方法の決定については各自治体の裁量に委ねられています。
よって、各自治体が計測方法を定める際に、床面積の計測は「壁芯による」と自主的に決定したようです。
床面積の範囲
特区民泊の「床面積」は、旅館業法上の「構造部分の合計床面積」より広い部分が含まれます。各自治体の規定を見てみましょう。
旅館業法の合計床面積にはクローゼットなどは含みませんが、特区民泊の床面積にはクローゼットなも含みます。住宅の間取り図で示される部分がほとんと入るイメージと理解すればよいでしょう。
旅館業法の測定方法はこちら
なお、大田区の基準ではクローゼットが算入されないようにも読めますが、大田区特区民泊においてもクローゼットは床面積に含まれます。
簡易宿所よりも面積要件は有利
簡易宿所で用いられる「内のり」より、特区民泊で用いられる「壁心」の方が面積は広く計測されます。さらに、簡易宿所では算入不可であるクローゼットなどが特区民泊では参入可能です。以上のことを考慮すると、簡易宿所よりも特区民泊の方が面積要件の算定方法において有利であるといえます。
なお、一般的に建築図面は壁心で制作されているため、添付書類に用いる図面を作成し直す手間も省けるというメリットがあります。
物件を選定する際には面積に注意
特区民泊を実施する場合には賃貸物件を利用するホストも多いようですが、この25㎡の面積要件を考慮せずに物件を賃貸借契約してしまい、あとから面積が足りないと気付くケースが多発しています。弊所にも、「25㎡に少し足りないが何とかならないか」との相談が頻繁に寄せられています。
不動産業者の中には、民泊可能物件と称して25㎡以下の物件を仲介するようなものもあるようです。物件選定時には、民泊を専門に扱っている特定行政書士に相談することをお勧めします。
弊所では、不動産物件が民泊の条件に合致しているか確認するサービスを行っています(要件調査)。不明な点はお問い合わせフォームからお問い合わせください。