ラブホテルの定義
渋谷区ラブホテル規制条例では、ホテル等のうち、もっぱら異性を同伴する客に利用させることを目的とするもので、構造及び設備が次の11項目をすべて満たしていない場合は、「ラブホテル」とみなされます。
玄関
外部からフロント及びロビーを見通すことができ、営業時間中に自由に出入りすることができる玄関が必要
帳場
受付、応接の用に供する帳場、フロント等の施設が必要です。
ロビー等
自由に利用することができるロビー、応接室、談話室等の施設が必要です。
食堂等
食堂、レストラン又は喫茶室及びこれらに付随する厨房、配膳室等の施設が必要です。
会議室・宴会場
会議、催物、宴会等に使用することができる会議室、集会室、大広間等の施設が必要です。
収容人数によって規模が規定されています。宴会場に限らず、会議ができるスペースであればOK。
廊下・エレベーター等
帳場、フロント等から各客室に通じる共用の廊下、階段、昇降機等の施設で、宿泊又は休憩のために客室を利用する者が通常使用する構造が必要です。
シングルルーム比率
ユニットバス(バスと便所が製造工場で一体成型されたものをいう)を備えた18平方メートル以下の一人部屋の床面積の合計が、全客室の床面積の合計の3分の1以上の構造である必要があります。
ダブルルーム比率
総客室数の5分の1以下のダブルベッド(幅1.4m以上のものをいう。)を備えた構造である必要があります。
窓ガラス
客室の外部に面する窓ガラスが透明ガラスであり自然光を遮蔽するフィルム等が貼りつけていない構造である必要があります。
清楚な内装
客の性的感情を刺激しない清楚な内装、照明、装置、装飾品等の内部設備である必要があります。
素朴な外観
青少年の健全育成及び附近の住民の生活環境を損なわない素朴な外観である必要があります。
民泊との関係
渋谷区は特区民泊を実施していないため、渋谷区内で合法的な民泊事業を実施するのであれば、簡易宿所型民泊になります。簡易宿所は、旅館業法の枠内で実施する営業なので、新築物件により渋谷区内で簡易宿所の営業許可を取得するためには上記要件をクリアする必要があります。
渋谷区内の民泊でラブホテル規制に対応するのは不可能
上記要件のうち、「窓ガラス」「清楚な内装」「素朴な外観」などはクリアが容易ですが、「食堂等」「会議室・宴会場」などは対応不可能といえます。したがって、新築物件によって簡易宿所の営業許可で民泊を実施することはほぼ不可能といえますので、渋谷区で大規模な民泊を検討することは避けるべきです。
23区内では様々な上乗せ条例が設けられていますが、渋谷区の場合には絶望的に対応が不可能といえます。渋谷区内の物件で民泊を実施しようかと検討中の事業者は経営戦略の練り直しが必要です。なお、今回取り上げたラブホテル規制条例は改正されて多少緩和されました。厚生労働省の通知により旅館業法の運用が緩和されたからといって渋谷区のラブホテル規制がこれ以上緩和されることは期待できません。
渋谷区内で民泊を実施するのは諦めたほうが良いでしょう。
ラブホテル規制条例が適用されないケース
なお、渋谷区ラブホテル規制条例で規定されている「建築」に該当しなければ同条例は適用されません。渋谷区ラブホテル規制条例が適用されない民泊事業の実施については下記の記事で解説しています。