民泊新法の方向性は閣議決定された
厚生労働省と観光庁の検討会での議論を踏まえ、民泊新法の方向性が閣議決定されました。この中では、民泊をホームステイ型民泊とホスト不在型民泊(管理者不在型民泊)に類型化したうえで、各類型ごとに運用方法を規定する方向性が示されました。
閣議決定の内容はコチラ制限日数が最大の論点
民泊新法では、一定日数の制限を設けることにより、新法による「民泊」を旅館業ではなく「住宅」と扱うこととしています。そして、この「一定日数」が何日になるのかが最大の論点でした。
民泊事業者の側からは、日数制限の撤廃もしくは日数の拡大が望まれます。一方で、旅館ホテル業界からは日数上限の引き下げたも強く求められていました。
日数の表記が削除される
検討会の議論では、年間180日以下とされていましたが、最終的な報告書には日数が明記されない模様です。ホテル旅館業界の圧力団体が自民党に圧力をかけたため、参議院選挙への悪影響を懸念して日数の文言が削除されたとのことです。
住宅の空き部屋に旅行者を有料で泊める「民泊」の新制度で、焦点だった年間営業日数の設定が先送りされた。商機拡大を目指す不動産・賃貸業界と、ライバルの営業活動を抑えたいホテル旅館業界が対立、参院選でそれぞれの業界から支援を受ける与党議員らに政府が配慮した。
朝日新聞 2016年6月24日
参議院選挙の結果が民泊に大きな影響を与える
今回の参議院選挙の結果次第で、民泊新法の行方が決まると言えます。旅館業界の支援を受けた議員が多数当選すれば、180日どころか30日程度まで日数制限が厳格化される可能性も高いです。
民泊業界は足並みを揃えて政治家に対するロビー活動が実施できていないのに対し、旅館ホテル業界は強力な圧力団体を構成して政治家に対するロビイングを強化しています。民泊事業は政治と密接に関わるスキームです。政治に無関心な事業者が多いままでは民泊業界の発展は望めないでしょう。