合法的な民泊とは?民泊専門の行政書士が民泊種類から営業許可申請手続きまで全解説


合法的な民泊とは

民泊サービスの定義

 「民泊」は法的に定義された概念ではありません。そのため、使用する場面はや発言者に依って指すものが違うことが多くあります。新聞記事やテレビ報道でも混乱が見られます。

 民泊サービスとは、一般には、自宅の一部や空き別荘、マンションの空き室などを活用して宿泊サービスを提供するものを指しているようです。ホームステイ等を含むこともあります。

 ここ数年、アメリカに本社を置くAirbnb(エアービーアンドビー)社が、空き室を短期で貸したい人と旅行者や観光客をインターネットで仲介するサイトによるビジネスを世界各国で展開しており、爆発的に普及してきました。日本語サイトが開設されたことにより、国内の物件登録数も急速に増えています。同社によると日本国内では約2万1千件の登録物件があります。

 このAirbnb(エアービーアンドビー)社が無許可の民泊である「ヤミ民泊」を数多く掲載していたため、大きな社会問題になりました。

airbnb

airbnb社の資料より

ヤミ民泊の問題点

 空き室を旅行者に対して「仲介する行為」自体は、旅館業法の規制対象ではありません。したがって、Airbnb(エアービーアンドビー)のようなサイト自体は現行法上は旅館業の規制を受けません。

 他方で、こうしたサイトを通じて、反復継続して有償で部屋を提供する行為は「旅館業」に該当するため、それらの営業者(民泊ホスト)は旅館業法の許可が必要です。

旅館業法においては、衛生水準の確保や宿泊者の安全性を確保するため、施設の衛生基準や構造設備基準などを定め、「旅館業」の営業者に対し、これを満たすことを求めている。

 しかし、当時は旅館業法上の営業許可(「簡易宿所」「旅館」「ホテル」)を取得するにはハードルが高かったため、旅館業営業許可を取得せず営業する、いわゆる「ヤミ民泊」が続出しました。

「民泊ルール」の検討

 民泊ホストは旅館業の営業許可を取得すべきなのが原則です。他方で、観光立国を推進するため、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要や、空きキャパシティの有効活用等地域活性化などの要請に応えることも求められています。

 そこで、テロ防止や感染症まん延防止などの適正な管理、安全性の確保を図りつつ、民泊サービスの活用が図られるようなルール(法律)の制定が求められました。

 このため、旅館業を所管する厚生労働省と観光産業を所管する観光庁が「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」を設置して民泊サービスについての検討をすすめました。

検討会で議論された民泊の論点

 上記の「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」では、民泊サービスに関する法規制(民泊許可)をはじめとした様々な点について議論されました。検討会では、以下のように様々な法律について整理されました。

  • 合法的な「民泊」の必要性(位置付け)
  • 旅館業法との関係
    • 位置付け
    • 構造設備基準との関係
  • 建築基準法における用途地域規制との関係
  • 建築基準法、消防法における構造設備基準との関係
  • 旅行業法との関係
  • 仲介事業者の位置付け・役割等

 上記の通り、民泊サービスは旅館業法だけでなく建築基準法や消防法など様々な行政法規と関連しています。これらの行政法規を一元的に扱うのが行政書士です。したがって、民泊サービスに関する手続きは行政書士の専門業務となります。

住宅宿泊事業法の成立

 「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の議論を踏まえて、厚生労働省と観光庁が所管する「住宅宿泊事業法」が成立し、2018年6月15日に施行されました。住宅宿泊事業法の詳細についてはこちらのページをご確認ください。

【民泊新法】民泊解禁!住宅宿泊事業法の条文概要や日数制限を特定行政書士が徹底解説・申請書や添付書類も掲載しています

民泊の法的な位置づけ

 最初に、民泊は法的に明確に定義されていないと述べましたが、民泊サービスは法的にどのように位置づけられるのでしょうか。

 この点、「民泊」という用語は法的に定義されていませんが、「料金をとって人を宿泊させるサービス」については法的に規定があります。すなわち、旅館業法上の旅館業に該当します。旅館業の定義は以下の三要件があります。

1.「宿泊料」を受けて

2.人を「宿泊」させる

3.「営業」

 宿泊料を徴収して人を宿泊させる営業を実施した場合には、旅館業の許可が必要になります。旅館業の許可を得ないで民泊事業を実施する、いわゆる「ヤミ民泊」は旅館業法違反となります。

 ただし、この「旅館業」の営業許可を取得しなくても旅館業と同様の営業を実施できるケースがあります。それが、「特区民泊」と「住宅宿泊事業」です。

 旅館業に該当することについて詳細は以下の記事を御覧ください。

【旅館業法】旅館業とは?民泊に旅館業法の許可が必要かどうかの「判断基準」

旅館業の営業許可を得ず、特区民泊でも住宅宿泊事業でもなく民泊サービスを実施する、いわゆる「ヤミ民泊」は犯罪です。

ヤミ民泊とヤミ民泊代行業者は「グレーゾーン」ではなく真っ黒アウト

合法的な民泊事業は3種類ある

 合法的に民泊営業を実施する手続きには、3つの方法があります。

  • 住宅宿泊事業(新法民泊)
    →日数制限がある
  • 特区民泊(国家戦略特区)
    →場所の制限がある
  • 旅館・ホテル、簡易宿所(旅館業の許可)
    →何も制限がない最強の許可

住宅宿泊事業(いわゆる「新法民泊」)

 住宅宿泊事業による民泊は、営業日数の制限があります。さらに、ホスト不在型民泊で新法民泊を実施する場合には、国土交通大臣へ登録した「住宅宿泊管理業者」へ管理委託する必要もあります。

 住宅宿泊事業は「届出」なので開業のハードルは比較的低いですが、ホスト不在型では住宅宿泊管理業者に管理委託をする必要があり一定のコストがかかります。稼働日数が少ない上に固定費がかかるため、高い収益性は全く期待できません。

 詳しくは、以下の民泊新法解説記事を御確認ください。

【民泊新法】民泊解禁!住宅宿泊事業法の条文概要や日数制限を特定行政書士が徹底解説・申請書や添付書類も掲載しています

特区民泊

 特区民泊は、東京都大田区・大阪府・大阪市など特定の地域でのみ実施可能です。「特区」に指定された地域以外では「特区民泊」は開業できません。

 特区以外の地域では、旅館業法上の「旅館・ホテル」の営業許可で民泊営業を実施します。詳しい説明は以下の記事を御確認ください。

【特区民泊】大阪市などで民泊許可を取得して民泊を始める方法とは?(大田区など国家戦略特区の特例)

旅館業(旅館・ホテル営業)

 国家戦略特別区域以外の地域では、日数制限なしに営業するためには旅館業の許可を取って民泊を開業する必要があります。民泊で利用する旅館業許可は、「旅館・ホテル営業」になります。

 この点、2018年6月に旅館業法等が改正される以前は民泊には「簡易宿所営業」しか利用できませんでした。しかし、現在では「簡易宿所営業」を使って民泊営業をするメリットはありませんので御注意ください。

 なお、住宅宿泊事業を開業後に、営業日数制限をオーバーしたため旅館業に切り替えるという運用も可能です。この場合には切り替えにあたっての重要な注意点がありますので、手続きを専門家に依頼することを強くお勧めします。

 下記のページでは「旅館・ホテル営業」を使った民泊営業について詳しく説明しています。

【旅館業法】旅館・ホテル/簡易宿所の営業許可を申請して民泊を実施する方法とは?合法民泊の始め方

物件の種類ごとの「民泊」営業の注意点

 いわゆる「民泊」営業を実施している物件の種類は、大きく分けて「一戸建て」と「共同住宅(集合住宅)」があります。

 共同住宅は複数の住戸が同一の建物内に集まっているため、そこで民泊が実施される場合にはゴミや騒音等による近隣住民とのトラブルが特に問題となります。また、区分所有物件の場合にはマンション管理規約との関係も問題となります。

【区分所有法】民泊・住宅宿泊事業と「マンション管理規約」

 一方で、一戸建てを利用した民泊の場合には近隣住民とトラブルになるリスクは比較的低いといえます。法律上も、自己所有物件の場合には区分所有物件と異なりマンション管理規約のような規則に縛られません。

 単独所有の土地・建物を使用して営業する場合には、法律上は第三者から民事上の制限を受けることはありません。

建築基準法と「民泊」営業の関係

用途地域

 簡易宿泊所型民泊は旅館業許可を取得して実施するため、実施可能な用途地域が限られています。また、特区民泊に関しても旅館業に準じて実施可能な用途地域が限られています(大阪府の一部地域では用途地域にかかわらず特区民泊が実施可能です)。

 民泊用の物件を選定する際には、当該建物の立っている敷地に関して用途地域を確認する必要があります。用途地域に関しては以下の記事を参照してください。

【建築基準法】物件選定時に要注意!民泊物件の選定では用途地域の確認に注意が必要

建物の用途変更

 建築基準法では、建物の用途に応じて細かな基準が規定されています。したがって、ある建築物の用途を、当初の用途から他の用途に変更する場合には手続きが必要です。そのように建物の用途を変更することを「用途変更」といいます。

 例えば、共同住宅を旅館に変えることも, 旅館を共同住宅に変えることも,いずれも用途変更となります。その際に、既存建築物が建築基準法に抵触し違反建築物となることがあります。平成9年9月1日以降に新築・増築された共同住宅は、建築基準法改正により共用部分の面積が容積不算入の扱いを受けている可能性が高くなっています。そのため、「共同住宅」から「ホテル・旅館」に用途変更を行うと、共同住宅に適用されていた容積率の緩和が適用されなくなり、容積率の上限を超えることがあるので特に注意が必要です。

 建物の用途変更には高額な費用がかかるため、可能であれば用途変更が不要な物件を選定することがオススメです。

 弊所では、建築士と共同してワンストップで建築物用途変更・リフォーム・民泊許可申請を受任することが可能です。

【建築基準法】民泊許可(旅館・ホテル/簡易宿所)に必要な既存建築物の建物用途変更手続き

民泊廃棄物の処理方法

 民泊サービスを事業として実施した場合には、法的な民泊許可を得ていない場合であっても(もちろん得ている場合でも)「事業」に該当します。したがって、事業である民泊サービスから排出された廃棄物(ゴミ)は「事業系の一般廃棄物」または「産業廃棄物」に該当します。

 多くのヤミ民泊事業者は、民泊サービスで排出されたゴミを家庭用のごみ収集に出しているようです。しかし、これは重大な犯罪です。廃棄物処理法上の不法投棄にあたり、逮捕される可能性もあります。なお、廃棄物処理法で規定された罰則のほとんどには両罰規定ですので、個人と法人の両方が罰せられます

【民泊ごみ】ついに警察が民泊ゴミ不法投棄を摘発!民泊営業での廃棄物処理方法について注意点を特定行政書士が解説

 京都市では、市議会で民泊サービスの廃棄物問題が取り上げられました。市当局の答弁では、ヤミ民泊の廃棄物問題にも厳しく取り締まるとの姿勢が表明されています。民泊のゴミを家庭用のごみ収集に出すことは重大な犯罪です。

 また、産業廃棄物の収集運搬許可しか持たない業者に一般廃棄物の収集運搬を委託することも重大な犯罪です。廃棄物処理法違反は罰則が重く、民泊事業者にとって致命傷になります。

民泊事業の廃棄物を京都市が取締り

民泊許可お問い合わせ

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