【特区民泊】有資格者の申請で民泊許可を取得して民泊を始める方法とは?(大阪など国家戦略特区の特例)


国家戦略特区(国家戦略特別区域)では、一定の場合には「旅館業法」の適用が除外されます。この記事では、【国家戦略特区内】で旅館業法の適用が除外される要件を説明しています。

国家戦略特区での民泊(特区民泊)を制度化するためには、自治体で条例を制定することが必要です。本サイトでは各地の特区民泊条例についても解説しています。そちらも御覧ください。

【国家戦略特区外】旅館業法による規制

宿泊期間が1ヵ月未満の施設では原則として旅館業法が適用されます。
→旅館業法に基づく営業許可は都道府県(保健所設置市又は特別区については、当該市又は特別区)が運用

国家戦略特区の外では、従来の原則通り宿泊施設に対して「旅館業法」が適用されます。したがって、民泊施設に関しても旅館業法の営業許可が必要です。

旅館業法3条の規制
  • フロントの設置、宿泊者名簿の作成義務
  • 衛生管理、保健所による立入検査 など

上記のような旅館業法上の規制以外にも、消防法や建築基準法による規制もクリアする必要があります。一般の住宅と異なり、「旅館」に関しては消防法や建築基準法で多くの規制が設けられています。

【国家戦略特区内】国家戦略特別区域法の特例(特区民泊許可)

国家戦略特区内で特定認定を受けると、特区民泊の実施が可能です。

国家戦略特別区域会議が、国家戦略特区法の特定事業を定めた区域計画について、内閣総理大臣の認定を受けたときは、当該認定の日以後は、国家戦略特区法の特定事業を行おうとする者は、その事業について都道府県知事の特定認定を受けることにより、その事業には、旅館業法の規定は適用されません

【特区民泊に関する国家戦略特区の対象地域】

  1. 東京都、神奈川県及び千葉県成田市
  2. 大阪府、兵庫県及び京都府
  3. 新潟市
  4. 養父市
  5. 福岡市・北九州市
  6. 沖縄県
  7. 仙台市
  8. 愛知県
  9. 広島県・今治市
首相官邸サイトより

首相官邸サイトより

特区民泊の定義

特区民泊の定義は、国家戦略特別区域法13条で規定されています。特区民泊の最大のネックは、ここで規定された最低宿泊期間の「3日~10日」です。この期間が短縮されれば、特区民泊は劇的に使い勝手が向上します。将来的には最低宿泊期間が短縮される見込みですので、一日も早い改正を期待したいです。

さらに、「外国人旅客の滞在に適した施設」を用意することが求められます。具体的には、多言語対応や周辺住民からの苦情受付窓口の設置等です。この点は、次の「要件」で挙げます。

国家戦略特別区域法 第13条
国家戦略特区において外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づき条例で定めた期間(3日~10日)以上使用させ滞在に必要な役務を提供する事業として政令で定める要件に該当するもの (※滞在するのは日本人でも外国人でも構わない)

特区民泊の要件

特区民泊を実施するための要件(条件)は、国家戦略特別区域法施行令に規定されています。居室の最低面積や必要な構造設備が挙げられていますが、全体的にみて旅館業法による「簡易宿所」の基準よりは緩いといえます。

国家戦略特別区域法施行令 第12条
  • 賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき使用させるもの
  • 施設使用期間:3日から10日までにおいて条例で定める期間以上
  • 居室の要件
    • 原則として25平方メートル以上
    • 出入口の鍵を有し、他の居室との境は壁造りである
    • 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有する
    • 台所、浴室、便所及び洗面設備を有する
    • 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理器具、清掃器具を有する
    • 施設の使用の開始時に清潔な居室を提供する
  • 外国語による利用案内、緊急時の情報提供 その他の外国人旅客の滞在に必要な役務の提供を行うこと

国家戦略特区法の特定事業に該当することについて都道府県知事が認定

認定された民泊は旅館業法の規定が適用除外となる=特区民泊許可

事業で用いる「施設」が外国人旅客の滞在に適したものであることを求めているが、施設の「利用者」については何ら規定を設けていない(日本人でも利用OK)。

特区民泊の認定基準

上に挙げた「特区民泊の要件」に合致しているか否かを具体的に認定する際の基準が、「認定基準」です。国家戦略特区内で特区民泊を実施するためには、各地の知事等の定めた認定基準に合致し、特定認定を得ることが必要です。現在は、大田区・大阪市・大阪府で特区民泊が開始しています。

上記の自治体以外では、特区内であっても特区民泊の認定基準が制定されていないため、特区民泊の実施は不可です。詳細については、資格を持った行政書士にご相談ください。

特区民泊特定認定申請の必要書類

特区民泊の特定認定に必要な書面を列記します。必要書類は、各自治体によって異なります。特区民泊の特定認定を申請しようと考えている自治他の手引をご確認ください。申請書類の作成は、資格を持った特定行政書士にご依頼ください。

以下では、東京都大田区の申請書類を例に説明します。

特区民泊特定認定申請書
  • 施設の名称
  • 施設の所在地
  • その行おうとする事業の内容
  • 構造設備の概要並びに各居室の床面積、設備及び器具の状況
  • 施設内の清潔保持の方法
  • 外国人旅客の滞在に必要な役務の内容および当該役務を提供するための体制

などを記載する。


添付書類
  • 申請者確認書類
    個人の場合は住民票の写し。
    法人の場合は定款または寄附行為及び登記事項証明書。
    外国人の場合で住民票の写しを添付できない場合は、申請者の実在性を確認できる書類(証明書類は6ヶ月以内のもの) 。
  • 契約約款
    民泊施設に関する賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款。
    外国語表記とその日本語訳が必要。
    以下の内容を全て盛り込む。
    (ア) 7日以内の解約できない旨(やむを得ない事情等でキャンセルがあり、実際の滞在は7日未満であっても、契約期間中の重複した別契約は認められない。)
    (イ) 施設滞在者は、日本語又は対応外国語に対応できる者であること。
    (ウ) 日本に住所を有しない外国人は旅券、日本人及び日本に住所を有する外国人の場合は、旅券又は運転免許証等の身分証明書の呈示を義務付ける条項
    (エ) 施設使用の際の注意事項を遵守する条項
    (オ) 対応できる外国語の種類
    (カ) 各施設で提供する役務
  • 図面
    施設の構造設備を明らかにする図面。
    換気設備、採光、暖房、冷房、台所、浴室、便所及び洗面設備の記載のある平面図等。
  • 滞在者名簿の様式
    滞在者の滞在期間、氏名、住所、連絡先及び職業並びにその国籍及び旅券番号の項目を備えた様式を用意する。
  • 権原証明書類
    当該民泊施設を事業に使用するための正当な権利を証明する書類。
    施設にかかる不動産登記事項証明書または施設所有者と申請者との間の賃貸借契約書、転貸を承諾する書面など。
  • 周知状況説明書面
    近隣住民への周知に関する説明書面。
    近隣住民への周知作業で使用した書面及びどのように周知、説明、近隣住民の理解を得たかを記載した状況説明書面。
  • 消防法令書面
    消防法令で定める手続きを行ったことが確認できる書類。消防法令適合通知書を添付する。

特定行政書士 戸川大冊
small早稲田大学政治経済学部卒/立教大学大学院法務研究科修了(法務博士)
民泊許可手続の第一人者。日本全国の民泊セミナーで登壇し累計850人以上が受講。政治法務の専門家行政書士として日本全国の政治家にクライアントが多数。 民泊を推進する日本全国の自治体政治家や国会議員にネットワークを持つ、日本で唯一の行政書士。
NHK「おはよう日本」、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」、TBS「ニュース23」など多数のテレビ番組に取り上げられている。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、週刊誌などでも掲載多数。

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