旅館業施設では「フロント」によるチェックインが必須なのか?
一戸建てを一棟貸しする形態の旅館業施設(旅館・ホテル、簡易宿所)が増えていますが、そのような施設でも「フロント」を設置してチェックインすることが必須なのでしょうか。
「フロント」は法令上は「玄関帳場」と呼びますが、旅館業法上の扱いは「旅館・ホテル」営業と「簡易宿所」営業で異なります。「簡易宿所」営業では、以前から玄関帳場の設置義務はありません。一方で、「旅館・ホテル」営業については一定の条件を満たすと玄関帳場の設置が不要になります。
この点について詳しくは、【旅館業法】フロントは不要になった?コロナ対策フロント無人化運営を正確に徹底解説しますの記事を御参照ください。
「フロント」設置が不要になる条件とは?
「旅館・ホテル」営業でフロント(玄関帳場)の設置が不要になる要件は、「旅館業法施行規則第4条の3」に規定があります。そして、その規定をさらに具体的に示したものが「旅館業における衛生管理要領」です。
「旅館業における衛生管理要領」によれば、次のような条件をクリアするICT機器等を設置すれば、フロント(玄関帳場)の代替措置として認められます。
- 事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていること。緊急時に対応できる体制については、宿泊者の緊急を要する状況に対し、その求めに応じて、通常おおむね10分程度で職員等が駆けつけることができる体制を想定しているものであること。
- 営業者自らが設置したビデオカメラ等により、宿泊者の本人確認や出入りの状況の確認を常時鮮明な画像により実施すること。
- 鍵の受渡しを適切に行うこと。
この4つの要件のうち、「緊急時対応」は駆付拠点を設置するなどして担保します。さらに、「出入状況の確認」については宿泊施設の出入口に監視カメラを設置して対応します。
そして、残りの2つについては、「チェックインデバイス」などのICT機器等を設置して対応することになります。
フロントの代替措置として認められるシステムは?
2018年に住宅宿泊事業法が施行されるとともに旅館業法が改正され、宿泊施設のチェックインシステムが多数開発されました。弊所では当時から数多くのチェックインシステムに触れてきましたが、法令の要件を満たしていないものも多くありました。
本記事では、住宅宿泊事業はもとより旅館業施設についても合法的に無人運営が可能なチェックインシステムとして「minpakuIN」をご紹介します。
合法性ポイント1:名簿の正確な記載
前述の通り、政令第4条の3に準拠して無人チェックイン運用をする場合には、ICT機器を活用して2つの要件をクリアする必要があります。
そのうちの1つ目が「宿泊者名簿の正確な記載」です。
この点、宿泊者名簿に記載すべき項目は各地方自治体の条例により細かく規定されていますが、minpakuINでは次のような項目を設定することが可能です。
- 国籍
- 氏名
- 住所
- 性別
- 職業
- 電話番号
- メールアドレス
- 生年月日
- 顔写真
- 身分証明書写真
- パスポート写真
- パスポート番号
- 前泊地
- 行先地
- ワクチン接種証明
- メモ(自由記述)
福岡市などでは、ゲストから署名を得るか署名と同等の措置を講じる必要がありますが、そのような自治体でも合法的にチェックインを実施するようカスタマイズが可能です。
宿泊者名簿の事前入力
予約内容の通知メールに記載したリンクから、宿泊者名簿の事前入力ページを開くことができます。この宿泊者名簿事前入力ページでは、宿泊施設の約款に同意をするフェーズが設けられています。同意ボタンへのチェック、またはサインによりゲストから同意を取得することが可能です。
ゲストが外国籍を選択した場合には、パスポートの画像も取得します。
宿泊者名簿の入力内容現地確認
事前に宿泊者名簿が入力されていない場合には、現地のタブレット等で宿泊者名簿の入力が可能です。事前入力済みの場合には、入力内容を確認して次へ進みます。
合法性ポイント2:鍵の適切な受渡し
宿泊者名簿入力が終わると、コールセンターとのビデオ通話を始めることが可能です。チェックインするゲストが話者の言語を選択すると、選択した言語でビデオ通話が開始されます。
宿泊者名簿に記載された情報と宿泊者が同一であることを確認してから鍵の交付をするため、鍵の適切な受渡しが担保されます。
なお、ビデオ通話ではなく、ゲストを撮影した画像による同一性確認や、ゲストを撮影した動画による同一性確認なども対応可能です。
自動チェックイン機との連携にも対応
minpakuINは小規模旅館業施設や住宅宿泊事業施設だけでなく、中規模以上の旅館・ホテル営業施設でも設置可能です。タブレットによるチェックインだけでなく、キャッシュレス型自動チェックイン機や自動釣銭機を含む現金対応型自動チェックイン機との連携も可能です。
無人運用による許可申請や無人化対応は弊所にお任せください
弊所では、北海道から沖縄まで全国各地の無人運用宿泊施設で許可申請や届出の実績が多数ございます。
新規の申請はもちろんのこと、既存施設の無人化対応も実績が豊富です。各種補助金を活用すれば自己負担額を減らしながら無人化運営に転換可能ですので、ぜひ一度御相談ください。