ついにヤミ民泊ゴミ問題で警察が摘発!
新聞各紙やNHKなどの報道によると、民泊で出たごみを別のマンションのごみ置き場に不法に捨てたとして、民泊を運営する京都市左京区の不動産会社と、いずれも中国籍の31歳男性と23歳男性の同社元社員が廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで検察に送致されました(いわゆる「書類送検」)。
本件では、京都市内の3か所の民泊物件から出たワインの空き瓶や段ボールなどのごみを、市内の別のマンションのごみ置き場に持ち込んで不法に捨てたとのことです。
民泊事業によって排出されたゴミは大半が事業系一般廃棄物であり、マンションのゴミ捨て場に家庭ゴミと一緒に捨てること自体も犯罪です。それに加えて、廃棄物収集運搬の許可を持たない業者がゴミを別の場所に運べば、その運搬行為も犯罪です。
廃棄物処理法違反は旅館業法違反よりも重大な犯罪です。事業系一般廃棄物について正しい知識を持たない掃除代行業者は大多数が違法な行為をしているので注意が必要です。
下京署によると、2人は2月24日、民泊施設として管理する同市中京区などのゲストハウスやマンション2室計3カ所から出た事業ごみ計約6・9キロを、下京区内にあるマンションのごみ置き場に不法に捨てた疑いが持たれている。
朝日新聞2017年5月31日
廃棄物処理は民泊事業の盲点です
従来の「民泊」では、ゲストが出したゴミは家庭ゴミと一緒にゴミ集積場に出していたケースが多いのではないでしょうか。しかし、民泊事業で排出されたゴミを家庭ゴミと一緒に出すのは違法です。
廃棄物処理については、某大手カレーチェーン店の冷凍カツの問題で社会問題になったことや、京都にある某有名私立大学の関係者が廃棄物処理法違反で逮捕された事件がありました。廃棄物処理についての規制は厳しく、民泊事業においても法律を順守する必要があります。
旅館業法違反以外でも、廃棄物処理法違反によって捜査や刑事訴追を受ける可能性も高いので、今一度御確認ください。
京都市では1年前から取締を開始していた
民泊に対して厳しい態度で知られている京都市は、事業系の一般廃棄物として処理されていないものについて指導する方針を市議会で表明しました。新聞でも報道されています。旅館業法の罰則に比べ廃棄物処理法違反の罰則は重いため、取締の必要性も高いといえます。
京都市「民泊」排出は事業ごみ ルール違反は指導も /京都
市循環型社会推進部の久保国男部長は、一部民泊の排出実態について「市指定ではないごみ袋での排出や、収集日外の排出がある。周辺住民から対応について相談を受けている」と説明した。そして「民泊は対価を得て宿泊サービスを提供している。(排出分は)家庭ごみには該当しない」と述べ、事業者を特定できれば、市が事業ごみとして処理するよう指導する方針も表明した。
毎日新聞2016年5月11日 地方版
大田区の特区民泊認定申請審査基準では、「廃棄物の処理方法」について以下のように規定されています。
特区民泊での取り扱い
この点について、大田区の担当課と話をしましたが、廃棄物についての法令は担当課も詳しく理解していないようでした。
そこで、今回の記事では民泊事業での廃棄物処理方法について解説します。
民泊事業者が注意すべき廃棄物処理のポイント
法や条例により、事業活動に伴って生じた廃棄物(事業系廃棄物)は、事業者の責任で適正に処理すること(自己処理責任)が義務づけられています。
処理については以下の点に注意が必要です。
- 適正な分別が必要
事業系廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に適正に分別する必要があります。一般廃棄物と産業廃棄物は処理方法が異なるため、両者を一緒に処理すると罰せられます。 - 処理に責任を持つ
事業系廃棄物は適正に分別した後、自ら処理できない場合は、責任を持って許可業者に処理を委託する必要があります。前述のように、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」では処理方法が異なります。適切な処理業者に委託しないと罰せられます。
事業系廃棄物とは
一般の家庭から出る廃棄物は「家庭系廃棄物」、会社やお店などの事業活動に伴って生じる廃棄物は「事業系廃棄物」と区分されます。
さらに、事業系廃棄物は、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分かれます。産業廃棄物は、法令により 20 種類が指定され、一般廃棄物は、産業廃棄物以外のものをいいます。
プラスチックや金属・ガラスからできた製品は、どの事業所から出ても産業廃棄物となります。「プラスチック」は家庭から出れば一般廃棄物なので清掃工場で焼却できますが、事業所から出る場合は産業廃棄物ですので清掃工場には持ち込めません。
事業系廃棄物の処理方法
1)分別
民泊事業で出た廃棄物のうち、リサイクルできるものは資源として活用します。廃棄するものは、一般廃棄物と産業廃棄物に分別します。
2)収集運搬
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一般廃棄物
清掃工場等の処理施設への収集運搬には、①許可業者に委託する、②大田区の収集に出す、③自分で運ぶ、の3つの方法があります。
許可業者に委託
一般廃棄物の収集運搬を他人に依頼する場合には、大田区の許可を持つ一般廃棄物処理業者へ委託する必要があります。その際には、処理する一般廃棄物の種類の許可を持つ業者と処理委託契約を交わします。
大田区の許可を持っていない業者に委託してしまった場合や、異なる種類の一般廃棄物処理の許可を持つ業者に委託してしまった場合は、5年以下の懲役か1千万円以下の罰金、又はその両方が科せられる場合があります。排出者である事業者の責任は重いので注意が必要です。
大田区の収集を利用(事業系有料ごみ処理券を貼り、集積所に出す)
排出量が少ない事業者の場合は、家庭ごみの収集に支障がないと区が認める範囲で、事業系有料ごみ処理券(シール)を貼付し、区の収集に有料で排出することができます。この場合の可燃ごみ、不燃ごみ、資源の分別は家庭ごみと同じになります。
法第 11 条第1項は、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」と規定していますが、第2項で、「区市町村が一廃とあわせて処理することができる産廃」と「区市町村が処理することが必要であると認める産廃」の2つについては、区市町村が処理することができることになっています(「あわせ産廃」)。
「あわせ産廃」とは?
東京23 区では、次の5品目の産業廃棄物に限り、一般廃棄物とあわせて収集しています。
①紙くず、②木くず、③ガラスくず及び陶磁器くず、④金属くず(廃油等の付着している物を除く。)、 ⑤廃プラスチック(原則としてプラスチックの製造、加工業から排出されるものを除く。)
なお、清掃工場等に直接持ち込む場合は、この5品目は産業廃棄物となり、「あわせ産廃」にはなりません。
自己持込みにより清掃工場等へ搬入
清掃工場等に自己で持ち込むことも可能です。詳細は清掃工場へ問い合わせをしてください。
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産業廃棄物
産業廃棄物の処理施設への収集運搬には、①許可業者に委託する、②自分で運ぶ、の2つの方法があります。通常は許可業者に委託すると思われますが、ここで注意が必要です。「産業廃棄物」に関する許可と「一般廃棄物」に関する許可は別です。したがって、産業廃棄物の許可しか持たない業者に一般廃棄物の収集運搬を委託するのは違法です。注意して下さい。
廃棄物処理業許可
一般廃棄物処理業許可と産業廃棄物処理業許可は別物。
産業廃棄物処理業許可しか持たない業者に一般廃棄物の処理を委託すると違法。排出者も責任を問われる。
以上のように、一般廃棄物と産業廃棄物は異なることを正確に理解して、適性に処理することが必要です。「適切な廃棄物処理がなされるように、必要な措置、体制がとられていること」を区に届け出る必要がありますので、注意して下さい。
民泊許可に関しての手続きは、こちらから御依頼下さい。