【区分所有法】国土交通省が改正を発表!民泊(住宅宿泊事業)が可能なマンション管理規約の文言とは?


分譲マンション(区分所有建物)で民泊は可能か?

建物の所有関係および利用関係を一般的に規定している私法上の一般法は、民法です。マンションも「建物」であることに変わりがありませんから、その所有・利用関係について民法が適用されるのが原則です。

しかし、マンションなどの集合住宅に関しては「建物の区分所有等に関する法律」(いわゆる「区分所有法」)が民法(一般法)に優先して適用されます(この様は法律を「特別法」といいます)。民法上の原則は「一物一権主義」ですが、区分所有権によって建物の一部に対する所有権を認めています。これを「区分所有権」と呼び、そのような区分所有権に基づくマンションを「区分所有建物」や「分譲マンション」と呼びます。

本記事では、分譲マンション(区分所有建物)において特区民泊や住宅宿泊事業を実施する場合に、管理規約で注意してチェックすべき点を解説します。

特区民泊・住宅宿泊事業法ではマンション管理規約に注意が必要!

区分所有建物で「民泊」を実施する場合には、マンション管理規約との関係を考慮する必要があります。

分譲マンションなどの区分所有建物では、他の区分所有に迷惑がかかるような使い方できません。具体的には、マンションの区分所有者の総意で決定された「マンション管理規約」に反するような使い方はできないということになります。

マンション管理規約について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

【区分所有法】民泊・住宅宿泊事業と「マンション管理規約」

区分所有建物で特区民泊を実施する場合の注意点

マンション管理規約に関する国土交通省の通知

各地で特区民泊の実施が広がる中で、マンション管理規約で特区民泊の可否について明記することを推奨する国土交通省の住宅局長から通知が発せられました(平成28年11月11日付 国土交通省 国住マ第39号・国住賃第22号)。

この通知では、マンションにおいて特区民泊を許容するか否かについて、区分所有者間(管理組合)でよく議論した上で、できる限り管理組合としての方針を決定し、その際には、できるだけ管理規約において明示する等、事業予定者・区分所有者だけでなく、承継人や占有者に対してもできるだけ告知することが望ましいとされています。

また、特区民泊実施区域内の新規分譲マンションについては、マンション管理の健全性や、安心して投資できる環境を確保するため、分譲事業者において、あらかじめ、規約上で方針を明示しておくことを求めています。

国土交通省が示したマンション管理規約改正例

従前の標準マンション管理規約(単棟型)では第12条で「専有部分の用途」について規定しています。

マンション標準管理規約
第12条(専有部分の用途)

区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし 、他の用途に供してはならない。

国土交通省から新たに示されたマンション管理規約例では、同条2項で特区民泊についての規定が追加されています。

特区民泊を許容することを明示する場合

第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用することができる。

特区民泊の禁止を明示する場合

第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。

使用細則に委ねることとする場合

第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2 区分所有者が、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。

区分所有建物で住宅宿泊事業を開業する場合の注意点

標準管理規約が改正された背景

2017年6月に住宅宿泊事業法が成立し、今後、分譲マンション(区分所有建物)においても住宅宿泊事業(いわゆる新法民泊)が開業可能となります。分譲マンション(区分所有建物)における住宅宿泊事業をめぐるトラブルの防止のためには、住宅宿泊事業の開業を認めるか否かについて、あらかじめマンション管理組合において、区分所有者間で議論を尽くす必要があります。そして、その結果を踏まえて、住宅宿泊事業を許容するか否かを管理規約上明確化しておくことが望まれます。

このため、特区民泊開始時には国土交通省は通知により管理規約改正例を示すだけでしたが、今回はマンション管理規約のひな型である「マンション標準管理規約」を改正し、住宅宿泊事業を可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例を示しました。

住宅宿泊事業を実施する場合

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。

いわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のみ可能とする場合の例

住宅宿泊事業者が同じマンション内に居住している住民である等の、いわゆる「家主居住型の住宅宿泊事業」に限り可能とするケースについての改正例は以下の通りです。

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合又は同じ建物内にある場合に限る。)に使用することができる。

いわゆる家主同居型のみ可能とする場合の例

上記のような,いわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のうち、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合(いわゆる「家主同居型の住宅宿泊事業」)に限り可能とするケースも考えられます。

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合に限る。)に使用することができる。

住宅宿泊事業を禁止する場合

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。

住宅宿泊事業禁止に加え、広告掲載も禁止する場合

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
3 区分所有者は、前2項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他の募集又は勧誘を行ってはならない

住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任する場合

分譲マンション(区分所有建物)の新規分譲時に規定するの原始規約等において、住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任しておくこともあり得ます。

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。

購入前にマンション管理規約を確認することが重要

特区民泊や住宅宿泊事業で運用することを目的に区分所有建物(分譲マンション)を購入する場合には、事前にマンション管理規約を確認することが必要です。購入予定物件の管理規約が、上に挙げた管理規約条文のどのパターンに当てはまるかを確認し、民泊事業の可否を判断してください。

御自身でマンション管理規約を確認することが困難な場合には、弊所へご相談ください。弊所では、マンション管理規約や物件の構造をチェックし、民泊事業が実施可能かを確認するサービスを提供しています。

特定行政書士 戸川大冊
small早稲田大学政治経済学部卒/立教大学大学院法務研究科修了(法務博士)
民泊許可手続の第一人者。日本全国の民泊セミナーで登壇し累計850人以上が受講。TVタックルで民泊について解説。政治法務の専門家行政書士として日本全国の政治家にクライアントが多数。 民泊を推進する日本全国の自治体政治家や国会議員にネットワークを持つ、日本で唯一の行政書士。
ビートたけしのTVタックル、NHK「おはよう日本」、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」、TBS「ニュース23」など多数のテレビ番組に取り上げられている。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、週刊誌などでも掲載多数。

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